rat's eyes:脆弱なラショナリストの視点

脆弱なラショナリスト「建築家:岡村泰之」の視点

建築は消費対象ではない


建築家が関わる建築は、設計から施工まで、
依頼主、施工者、設計者が対話を積み重ね、
よりよいものをつくっていくというプロセスと出来
上がったモノとしての建築がセットで成り立って
いる。また、完成してからは、メンテナンスで、
依頼者は、施工者、設計者と数十年に渡って
付き合うことになる。


また、空間なるものは、設計している段階、
完成してすぐでは見えてこない部分が多い。
数年過ごしていく中で、四季の変化の味わい、
日々の生活を豊かにしてくれることがじわじわ
と感じられるようになる。空間とはこうした時間
やプロセスを通して理解されるものなのである。


通常、消費社会の中で、消費者が購入する
商品は、貨幣との等価交換の中で、時間や
プロセスを排除したかたちで取引される。そこ
には、時間を経てみなければ分からないこと
はないものとして消費が実行される。


先にも述べたように、建築は時間とプロセスに
密接に関係している。それゆえに、単純な消費
対象とは一線を画されるべきものである。


建築するという行為は、時間とプロセスを共有
するとことだということを忘れてはいけない。