rat's eyes:脆弱なラショナリストの視点

脆弱なラショナリスト「建築家:岡村泰之」の視点

なぜ現場打合せをするのか

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建築の工事が始まると、週一回のペースで現場打合せをする。設計の段階で建築のすべての部分を考え図面化している訳だから、現場で打合せをする必要がないように思えるのだがそうではない。

 

現場打合せをする実務的な目的は、図面通り施工されているかをチェックすることである。実は、現場打合せの意味はそれだけではない。現場には良い建築にしていく余地がまだ残されている。工務店、クライアント、われわれ設計者が現場に集い協力しどうしたらより良い建築できるかを考え話し合う。これが一番大きな目的である。立体の現寸の建築に立ち向かうと、2次元の図面では見えない部分が明らかになってくる。細かい納まりから、スイッチと照明とコンセントの位置関係が、実際建物に入ってみると少しずらした方が使いやすかったり、美しかったりすることもある。またエアコンのスリムダクトや室外機の配置も、設計段階で考えていたものでは見栄えが悪いこともある。現場に通うことでそれらを見つけ工事に影響のない範囲で少しずらすことでいい建築になる。

 

また、図面では施工できると思っていても現場では施工不可能ということもままある。これらのことも、現場監督さんや職人さんと話し合い、つくりやすくきれいに納めていくこともできる。1現場で、3~5回は大きな壁が立ちはだかる。これまでたくさんの建築を設計してきたが、必ず難しい問題にぶつかる。工務店、クライアント、われわれ設計者で、よりよい建築にすべく話し合い協力していくことで必ずいい建築になる。それらを実現するために現場打合せに参加しているのである。