rat's eyes:脆弱なラショナリストの視点

脆弱なラショナリスト「建築家:岡村泰之」の視点

つくばセンタービル


住宅の現場があり、2〜4週に一度程度の割合でつくばに通っている。


昨年夏、現地調査のため、学生時代以来20年ぶりに筑波を訪れた。
その時の第一印象は、以前と比べて樹木がかなり大きく茂り、通りが鬱蒼と
し深い影を落としていたこと、そして建物が建ちそろいまちらしくなってきた
ということだろうか。


20年前は三宅理一さんの研究室で、磯崎新さんの「つくばセンタービル」を
見学しに行くというので無理やり同行させてもらった。
たしか、磯崎アトリエの当時のつくば担当者だった渡辺誠さんの案内だったと
記憶している。


当時、磯崎新さんが描いた数十年後に「つくばセンタービル」が廃墟になっている
というドローイングがあった。たしか、「国家と建築」という論文に掲載されたもの
だったと思う。
その廃墟になった「つくばセンタービル」をイメージして20年ぶりに筑波を
訪れたのだが、かなり期待を裏切られた。ビルは適切に管理されピカピカの状態を
保っており、さらに不思議と自然にまちに溶け込んでいたのだ。


いまの現場が7月に終わって、数ヵ月後に「つくばエクスプレス」が開通する。
つくばと秋葉原という国際競争力のある極端なある種の「おたく」のまちを
つなぐ鉄道は、日本の生きるべき未来を暗示しているような気がしてならない。