rat's eyes:脆弱なラショナリストの視点

脆弱なラショナリスト「建築家:岡村泰之」の視点

ハーフビルドという方法


流山の住宅、「DO-HOUSE 3」half-buidの工事がクライアント自主施工による
内装工事に入った。


クライアントのAさんご夫妻にはじめてお会いした当初から、なんらかのかたちで
住まいづくりに直接関わりたいとの強い要望をお聞きしていた。
実際、解体した前の家でも、ご主人の部屋と子供部屋はご主人の手による
自主施工の増築で、家や家族は自分たちの手でつくり上げていくものという
強い意志を感じていた。


設計者はデザインしたものをできる限りコントロールしてつくっていきたいと
考えるし、施工者とくに大工さんはものをつくることで社会とコミットする職業で
あるがゆえ、予算が許す限りプロに任せましょうということで設計が進んでいった。
そのときのご主人のさびしそうな目が印象的だった。


そんなこんなで設計も終わり、いざ見積もりが出てみると予想はしていたが、
なかなかの予算オーバー。
見積もり調整をしていくなかで、ご主人の顔はほころび、これとこれはやっぱり
俺がつくらないとね、しょうがねえなあ〜と俄然住まいづくりに力が入ってくる。


工務店の社長にも無理を言って、融通をきかせてくれる大工さんを紹介してもらい、
構造体、屋根、外壁までは工務店工事、その他の床、壁、天井などの内装は
クライアント自主施工工事という異例のかたちで工事が始まることになった。


この暑い時期になって、クライアントのAさんに工事が引き渡された。
Aさんはうちの別の現場で大工さんから納まりや施工方法についてかなり研究
されていた。最長でも年内完成を目指してAさんの奮闘が続いている。


私にとってもこうしたケースは初めての経験だが、住まいづくりとはなんぞやと
いう根本的な疑問を投げかけられた仕事である。


こりゃ完成したらまた大飲み会だな・・・。