rat's eyes:脆弱なラショナリストの視点

脆弱なラショナリスト「建築家:岡村泰之」の視点

「可能性」をデザインすること


建築家にできることは、
与えられた条件の中でより快適で豊かな建築を
デザインすることである。


家族間のコミュニケーションや
まちの人々の交流はデザインすることができない。


もしそれらに関与したいなら、ひとつだけ方法がある。
それらのコミュニケーションや交流を生み出す「可能性」の
ある空間はデザインできる。
いわば、それらを触発する余白のようなものだ。


建築内部でいうなら、
家族が集まりたくなるような余白をデザインすればいい。
団地の戸建住宅群ならば、外部に対して閉じるのではなく、
隣地に住宅が建つときに視覚的に利用してくれてもいい空地を
外部に向けてつくる。


こうすることで家族間の良好な関係や
まちが少しでも快適に発展していく「可能性」を残すことができる。


現在のすまいづくりやまちづくりには、こうしたものごとが
よくなる「可能性」を残していくデザインが少なすぎる。


こうした「可能性」のある余白を積極的にデザインしていきたいと
考えている。