rat's eyes:脆弱なラショナリストの視点

脆弱なラショナリスト「建築家:岡村泰之」の視点

敷地周辺環境の変化


建築の設計は、敷地周辺環境を読み込んで
外部環境を建築内部にどう取り込むかで進められていく。


ここのところ、敷地周辺環境が激変した現場が2つあった。
国分寺と新座の住宅。
双方とも、敷地北側にタイプは違うが豊かな雑木林があった。
設計も南側のみに開くだけでなく、景色は北側からも取り込む
という方向で進めていた。


ところが、現場が半ば頃に、国分寺は宅地開発の、
新座はマンション計画の話が持ち上がった。


私の住宅の計画では、南側を開ければ北側も開けるという
二面開放を原則的に手法として採用している。
今回の計画では北側の自然風景は望めなくなったが、
通風のためと開放感を演出するための二面開放は生きている。


敷地周辺環境はどのように変化するか確実な予想はできない。
計画的に変化を予測しても、あるいは最悪の場合を考えてみても
必ず予想どおりになるとは限らない。
われわれにできることは、環境が変化してもその変化に
対応できる余地を残しておくことだけである。


●写真は、新座の住宅の2階寝室の北側の窓。
窓の先に、雑木林が望めるはずだったが、いまは更地に
なってしまっている。そして、近い将来15階建ての
マンションが建つ予定である。