rat's eyes:脆弱なラショナリストの視点

脆弱なラショナリスト「建築家:岡村泰之」の視点

土地と建築に完璧はない


土地探しのお手伝いしていて、いつも思うことがある。
すべてに満足できる土地はほとんどないということだ。


都心で駅に近ければ土地は狭くて高い。
おまけに日当たりも悪いかもしれないし騒音がひどい可能性も高い。
それでも利便性を優先させるクライアントも多い。
その場合、自分たちが住みたいところだと強く思われて選択される。
それはおそらく正解だ。あとは建築家に任せればなんとかなる。


反対に、郊外で比較的安く広い土地を選択される方もいる。
都心より日当たりは確保しやすいし静かなことの方か多い。
建築家に頼んでも、都心の利便性を確保するのは難しいが、
日々の生活をより楽しむことのできる住まいはつくることが
できる。


問題は、自分たちの生活にどちらがフィットするかだ。
このように土地には完璧なものなどなく、自分たちに
とってベターなものをさがすしかない。


建築にも、同じようなことがいえる。
吹抜けをつくると、開放感が得られるが冬の晴れない日は寒い。
かといって、冷暖房効率を優先すると閉鎖的な家になってしまう。
また、オープンな家をつくるとプライバシーの確保に問題が
生じる。またまた、プライバシーを優先しすぎると陰気な家に
なってしまう。


土地探しも住まいづくりも、自分たちにとってのよりベターな
ものを探すための旅のようなものだ。


●写真は、事務所近くの桜の木のある家。
桜の季節になると、桜の木のある家がまちの中に浮かび
上がってくる。まちの中に季節の花が点々とあると、まちに
深みを与えてくれる。