rat's eyes:脆弱なラショナリストの視点

脆弱なラショナリスト「建築家:岡村泰之」の視点

屋敷林(やしきりん)


相変わらず、豪徳寺近辺では解体現場が目立つ。
他の地域でも同じような現象が起こっている
のだろうか。少し景気がよくなって、金利
上がりそうだし、ローン控除額も減って、さらに
消費税も上がりそうだからなのか。


今年の3月に竣工した国分寺と新座の住宅の裏にも
雑木林があったが、建物が完成間近に、一方は
分譲地に、他方はマンション建設のため、雑木林は
一掃されてしまった。


豪徳寺近辺の解体現場でも、いわゆる屋敷林を
持つ建物が解体されている。もちろん、屋敷林も
取り払われる。経済原理からいったら、ふつう
樹木に直接的な価値はないのだろう。しかし、
まちの記憶や環境といった側面から見るととても
大きな価値を有している。


まちの記憶や環境も、じつはまちの品を左右する
ものである。つまり、土地建物を販売するときの
価値を上げるための要素になりうる。最近の
お客さんはその辺にはかなり敏感なはずである。
経済原理に取り込んだ方が当然売りやすいだろう。


これからは、場の持っているポテンシャルが売りに
なる時代である。そのとき、まちの記憶や環境は
重要なキーワードになる。