rat's eyes:脆弱なラショナリストの視点

脆弱なラショナリスト「建築家:岡村泰之」の視点

じつは、見積調整はクリエイティブな行為である


まだ駆け出しの頃、見積調整の時期が来ると、
気持ちが塞いだ。設計段階は、発想を広げる
おもしろさがあり、現場では構想したものが、
具体的にかたちとして立ち表れてきて、胸が
躍る。


そのころ、見積調整は無理やり予算に建築を
合わせるマイナスの行為だと思っていた。
ところが、最近は、プラスのとらえ方ができる
ようになってきた。


彫刻のように、贅肉とまではいわないが、いま
必要ないものを削ぎ落とし、ほんとうにこの
建築にとって必要なものを見極めていく行為だ
と考えると、ネガティブだと思っていたものが、
一転して、クリエイティブな行為になる。


世の中には、一見ネガティブだが、視点を変え
ると、クリエイティブで、興味深いものに成り
得ることが結構あるように思う。