「芸術の神様が降りてくる瞬間」(光文社)の
中の、茂木健一郎と町田康の対談で、町田康
が、ものを書くときには、「まず、自分の魂を
荒らす必要がある」といっていた。何の説明も
なくとも、スッとからだに入ってくる言葉で
あった。
いろいろなものを、偏見なく受容するためには、
ツルッとした精緻で合理的な魂ではだめで、
荒れた魂で表面積を最大限にしておく必要が
ある。
魂を荒らしておくと、相手の発言が魂から発せ
られているか、心にもないことを上辺で繕って
いるか、直感的に見分けることができる。
どうせ人とコミュニケートするなら、魂で響き
あいたい。建築においても、そうでありたいと
思う。
実(じつ)のあるところでものつくりをして
いきたい。そこを掘り進めることで、ほんとう
におもしろいものをつくる可能性を高め、魂を
揺さぶり続けていきたい。