rat's eyes:脆弱なラショナリストの視点

脆弱なラショナリスト「建築家:岡村泰之」の視点

消費されるもの・消費されないもの


ことしもきょうで終わり。若い頃より、一年が
終わるという感慨はめっきり少なくなってきた。
なぜだろうか。


過去から現在まで、いろいろ目にしてきた建築
について考えてみた。発表された当時は、世の
中にセンセーションを巻き起こしたのに、既に
忘れ去られているものの多いことに驚く。


建築には、消費されるものと消費されないもの
の二種類ある。時代を代表する建築と評された
建築でも、時代の表層をなぞっているだけで
あるために、時代の変化とともに消費されていく
ものと、建築の本質的なものを確実に捕らえて
おり、消費されることもなく、時代を超えて建築性
を伝え続けるものがある。


消費されるものには、あまり興味はない。内側
から溢れ出る内的必然性に支えられ、建築の
本質である「空間性」をしっかり現実化すること
ができ、たとえ大きく評価されなくても、消費
されない建築をつくり続けていきたいと思う。