rat's eyes:脆弱なラショナリストの視点

脆弱なラショナリスト「建築家:岡村泰之」の視点

つなぎ、結びつけること


日々いろいろなことをしていて、ふとわれに帰る
と、自分はいったいなにをしているんだろうと
思うことがある。


ついつい無意識に、いろいろな人を結びつけ
たいと思う願望があるようだ。


そこには深いところで通じる理由があるような
気がする。ある興味深い人が二人いて、この
ふたりを結びつけると何か面白いことが起こり
そうだと、直感的に感じたら、ついつい無理やり
そのふたりを出会わせてしまうのだ。ふつうに
していたら、起こることもないことが出会うこと
で起こることもあるからだ。その触媒的作用が
生じる様を見るのが好きなのかもしれない。


建築においては、工務店のおもしろい人同士を
引き合わせるということを、無意識にやっている
ようだ。通常、工務店の人は、ほかの工務店
人と交流する機会はあまりない。でも、それぞれ
がおもしろいことを考えていて、いっしょになにか
をやれば、きっといい方向になにかが発展しそう
だったら、どんどん出会うべきだと思う。


きのうは、工務店の人同士で、職人さんを共有
して使ったらどうかという話になった。いま職人
さんは、手間代もきびしく、仕事自体もハードで
ある。そんなことで、職人さんがどんどん減少
しているらしい。ならば、工務店同士で共有して、
仕事がオフの日をなるべく少なくすると同時に
ロスもなくし、手間代をちゃんと確保し、若い
職人さんを鍛え育てていく。そうすることによって、
工務店がもっているそれぞれの特殊な技術力
をみんなが共有することもできる。と、そんな
話になった。これは、建設業界にとっても、設計
業界にとっても喜ばしいことである。


建築家同士の交流も、サロン的な場所以外には
ほとんどなく、本質的な部分での交流は皆無
といっていい。建築家一人で孤軍奮闘するのも
いいが、限界もあろう。公的な集まりをつくって、
サロンにつどってもあまり意味はないのは自明
である。問題は、何人かの建築家が集まる
ことによって、理念を共有し、具体的な行動を
起こすことだ。そうすることで、できることは
いろいろある。そんな建築家同士の交流の場も
つくっていこうと考えている。


よりよい世の中にしたいと思うのは、心ある
人たちの共通の願いである。ならば、具体的に
できることは結構身近にある。身近なところ
からともに考え行動していこう。


これからも、結びつくべき人たちを結びつけて
いくことで、もひとつひとつの具体的なかたち
にしていこう。


大上段に構えなくてもできること、やらなければ
ならないことは山ほどあるのだ。