rat's eyes:脆弱なラショナリストの視点

脆弱なラショナリスト「建築家:岡村泰之」の視点

新しい一般解をつくる


建築家の仕事は、一般解というより、ふつう
ではありえないことを編み出して、問題を解決
するといったようなことに代表されるように、
特殊解を導き出すこととされているようだ。


独立してしばらくは、私も特殊解を導き出す
ことに固執していた。依頼主の話を聞くという
より、自分の頭の中にある理想を現実化する
ことが建築家の仕事だと思っていたのである。


しかし、ここ10年は全く違うポジションで仕事
をしている。とくに住宅の場合、依頼主の望ま
ない特殊解をいくら考え出しても世の中の
ためにならないと思うようになってきたのだ。
一般解の中にある深みのようなものに興味が
出てきたともいえる。


一般解というと、ありきたりのどこにでもあり
がちな陳腐なものと思われがちだが、時代や
人が変われば、一般解であろうとどんどん
変化していく。実は、ふつういわれている
一般解は過去の固定化された、化石化した
解である。しかし、求められている解は、いま
の時代、それぞれの人に対応した解であって、
その変化する解こそが一般解なのである。


パラダイムが移行していく中で、その変化に
対応した、新しい一般解を永遠につくり続けて
いけばいいのだと思う。