rat's eyes:脆弱なラショナリストの視点

脆弱なラショナリスト「建築家:岡村泰之」の視点

案を寝かす


建築を考えるとき、よくアイデアが煮詰ること
がある。そうしたとき一度その案から思考を
切り離し、1週間くらい放って置くことがある。


決して投げ出すわけではない。その案の
いいところをよりよくしようとしているときに、
だいたい思考は停滞する。全てをよくしよう
と考えるからである。建築の世界では、全て
のことがオールマイティによくなるという
ことはほとんどない。なにかを切り捨てる
ことで、より大きないいものを手に入れる
ことができる。この取捨選択を冷静に判断
できるように、案を寝かすのである。


時間を置くことで、優先順位が整理され、どう
すれば、つまりなにを捨てれば、より大きな
豊かさを得ることができるかがクリアに見え
てくる。コンピュータでいうと、「デフラグ
の作業のようなものといえば分かりやすい
だろうか。人でいえば、それは睡眠に当たる。


その案がいい案であればあるほど寝かした
方がいい。そうすることによって、よりよく
なる可能性が増す。