rat's eyes:脆弱なラショナリストの視点

脆弱なラショナリスト「建築家:岡村泰之」の視点

現実と抽象をつなぐもの


昨今では、どの世界でも抽象やコンセプト
というと、難しいと敬遠されがちのようで
ある。


抽象とは、辞典によると、「個個の事物
や事象から、それらの範囲の全部のもの
に共通な要素を抜き出し、(およそ・・・
と言われるものはそのようなものである)
と頭の中でまとめあげること。」(新明解
国語辞典)とある。


現実の事象を理解するために全体をつかむ
ための手法だともいえる。つまり、現実が
なければ抽象はできないということであり、
現実と抽象はそもそも関係性があるもの
なのである。


なぜ、抽象やコンセプトというものが敬遠
されるようになったかといえば、現実と
リンクしない、根無し草的なそれらがあまり
に世の中に横行しす過ぎているからだ。


先にもあったように、抽象は現実の全体を
つかむためのものであり、ものごとをより
全体的に、多様に、多層的にとらえるため
に必要不可欠なものである。


抽象的な思考やコンセプチュアルな構成は、
建築でいえば、空間をより多様で多層的に
し、豊かさを生み出す源である。


現実にリンクした抽象的な思考で建築を
考えること。