rat's eyes:脆弱なラショナリストの視点

脆弱なラショナリスト「建築家:岡村泰之」の視点

ものをつくるということ


文学にせよ、芸術にせよ、建築にせよ、もの
をつくるということに共通することは、混沌の
状態で存在するものに、なんらかの意思を
働かせて、いままで無関係だったもの同士を
関係付け秩序を与えることである。それも人
に感動を与えることのできる関係付けが成さ
れる必要がある。あるいは、その反対に固定
された秩序を意思的に破壊することも同じ
行為とみなされる。


それらアート系の作業に関わらず、人間の
行為は、混沌の中に秩序を見い出すことで
あるともいえる。言葉も社会制度も技術も
同じ系統の行為なのである。


混沌に秩序を与えていくと、人間の生活は
どんどん意識的なものになり、便利になって
いく一方、いろいろなことがコントロールされ
窮屈なものになっていく。だから、破壊という
暴力的行為も容認されるのである。


芸術は、一方的な混沌や秩序をただそのもの
だけの変化ではなく、ひとひねりさせることで
人間の精神を安定させる役割も担っている。


シアワセな状態とは、混沌と秩序が適度な
割合で混ざり、それらがなんとなくハッピー
な方向に向かっていることなのかもしれない。