先日、たまたまTVをつけたら、ボクシング
の中継をやっていた。小中高と、その時代
ごとにヒーローボクサーがいた。その頃は
よくボクシングの中継を観ていたものだ。
もっとも記憶に残っているのは、具志堅
用高である。彼の試合運びを観ていると、
パンチをかわすのも、パンチを繰り出すの
もミリ単位の正確さで、この人が負けると
はだれも想像できないくらい強かった。
その具志堅用高を髣髴とさせるボクサーを
たまたまつけたTVで観てしまったのだ。その
名も、長谷川穂積。この試合でも1Rノック
アウトで勝利。この人も負ける気がしない。
ものすごく正確なパンチを何発も繰り出せ
るところがすごい。
単純に、正確に敵のパンチをかわし、確実な
パンチを繰り出すという次元を超えたなにか
を感じさせる人だ。相手に自分の波動のよう
なものを照射し、その波動の反射を正確に
読み取り自分の流れをつくっていくというよう
な、目には見えない高次元の身体的コミュニ
ケーション能力をもっているに違いない。
真剣勝負だから、ボクシングが好きだったが、
ロラン・バルトの「レッスルする世界」を読んで
以来、予定調和というか、八百長性の主導権
を試合の流れの中でのらりくらりとつかみとり
合い、不思議な世界をつくり出すプロレスも
好きになったこともある。
長谷川穂積の登場で、またまたボクシングの
世界もおもしろくなってきた。