rat's eyes:脆弱なラショナリストの視点

脆弱なラショナリスト「建築家:岡村泰之」の視点

空間は無意識につながっている


建築のコンセプトや構成理論は、明らかに
意識的な思考によって組み立てられるもの
である。


それに対して、空間というものは論理的で
意識的な思考によってはもたらされない。


意識と無意識が混ざり合っているから建築
はおもしろいのだ。


村上春樹の小説は、湖、路地、地下、など
といった装置によって、意識と無意識の間
をつなぎ、主人公は双方を行き来すること
で、現実の脆弱さを表現している。まったく
もって、空間的、建築的な小説なのである。


空間が無意識的である以上、意識的で認識
的な思考では生み出すことができない。ある
程度のところまでは法則化は可能であろう。
しかし、最後のひとひねりは直感に頼らな
ければならない。空間のアイデアが空から
降りてくるということを建築家はよくいうのは
そのことを指している。この最後のひとひね
りこそが空間の核なのである。


だから、こんなに深くておもしろい、建築は
簡単にはやめられない。