rat's eyes:脆弱なラショナリストの視点

脆弱なラショナリスト「建築家:岡村泰之」の視点

{社会}この本を読めばいまの日本が分かる


ここのところ、戦前、戦中、戦後の歴史に関わる
本を読み漁ってきた。いまの日本の置かれている
状況、なぜ米軍基地が戦後70年も存在しているの
か、なぜ原発ゼロにできないか、この2つの大きな
疑問が解けないままで、もやもやした気持ちのまま
日々を過ごしてきた。


何冊かの本を読んでいく中で、断片的にいろいろ
なことが分かってきた。それでもその先にまだ何
かがあり、総体的に日本を支配しているものが
あるのではないかという疑問は晴れないままで
あった。


そうした疑問にすっきり応えてくれる本がついに
出た。孫崎享氏の本「戦後史の正体」などの一連
の戦後史本の編集者である、矢部宏治氏による本
日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないか
集英社インターナショナル)である。


まずは、基地について。日米安保条約に付随した
アメリカが合意しない限り基地を使用し続けられ
るというアメリカで最近情報開示された密約による
ものだという結論だが、1959年の最高裁砂川判決
により、日本国憲法を含む国内法の上位に安保が
位置付けられてしまい、在日米軍治外法権状態
が確定されてしまったということだ。だから基地を
止められない。


つぎに、原発について。日米原子力協定により、
アメリカの了承がないと原子力事業を止められ
ないというのが結論だが、上記の砂川判決と同じ
論理で最高裁では判断できないものとされこれも
国内法の上位に日米原子力協定が位置付けられ、
日本は原発をどうするかを決められないことに
なってしまっているらしい。


この2つの問題は、先の民主党政権の時に露呈
されてしまった。基地は鳩山内閣の時の普天間
基地移設問題、原発は野田内閣の時の3年以内
原発ゼロ宣言が反故にされた時に明らかに
なった。


この本は上記のことを、天皇、国連のことなど
を交えながら論理的に証明してくれている。更
にこの状況をどのように打破していかなければ
いけないかについても論考されてる。右も左も
関係なく、いま読まなければいけない本である。


矢部氏と鳩山元総理の対談も興味深い。ぜひ
読んでみてください。(前編後編