rat's eyes:脆弱なラショナリストの視点

脆弱なラショナリスト「建築家:岡村泰之」の視点

下高井戸シネマに映画を観に行く


かみさんが、下高井戸シネマで映画を観て来て、
この作品はいいからぜひ観て来てと、しつこく
勧められたので、仕事を抜けて映画を観に行く
ことにする。きのうが最終日だったので、行か
ないわけにはいけなかった。


世界最高のピアニストといわていれる、マルタ・
アルゲリッチ家族を撮った映画である。その名も
アルゲリッチ 私こそ、音楽!」。マルタ・アル
ゲリッチの娘の3姉妹の末っ子、ステファニー・
アルゲリッチ監督の初の長編作品である。


マルタ・アルゲリッチの3人の娘は父親がすべて
違う。いずれも世界的な音楽家である。娘3人に
加えて、ステファニー・アルゲリッチの父親が登場
する。ステファニー自身がカメラを持ち、レンズを
通して母マルタに語りかける。マルタは、演奏会
以外、マスコミなどの取材は受けず私生活は謎
となっていた。


世界的なピアニストである母親。父親がすべて
違う3人の娘たち。こうした複雑な過程の中で
3人の娘の母親感はそれぞれ大きく異なる。それ
を末娘がレンズを通して、自分の思い、母親の
気持ち、姉たちとの関係などを紡ぎ出していく。
マルタ・アルゲリッチの眼と表情の魅力はなん
ともいえない深みがあり、とても魅力的である。
ピアノの演奏も独創的でこちら心を揺さぶる。


ステファニー・アルゲリッチマルタ・アルゲリッチ
の他愛もない会話を通して、これまでの確執や
想いを解きほぐしていく。伝記的なドキュメンタリ
ーに留まることなく、異質な家族関係を記録して
いくことで、家族とは何か、愛とは何かを逆照射
するとても奥行きのある映画作品である。


たまたま、かみさんの紹介で観た映画だが、いま
観ておくべき映画である。久しぶりにいい映画を
観た。