rat's eyes:脆弱なラショナリストの視点

脆弱なラショナリスト「建築家:岡村泰之」の視点

コンテクストと建築の自律性


学生のころや、勤めていたころは、建築を
構想するときあまりコンテクストについて
考慮していながった。建築そのもののデザ
インと空間性に興味があり、その自律性
だけを追い求めていた。


独立していくつか建築をこなすうちに、ふと
思い付くことがあった。住宅の場合、家族
の住まい方を考えることは時間と家族間の
コンテクストをよりよい方向で解決すること
ではないかと考えた。これを外しては住宅
は成り立たない。また周辺環境を考慮し光
や風を取り入れたり、借景したり、周辺の
環境と調和させたりと建築はコンテクスト
によって初めて成り立っているものである。


そのころから、建築をつくるにあたっての
考え方を大きく転換していった。すべての
クライアントの要望を引き受け、すべての
コンテクストを考慮した上で、建築の自律
的デザインや空間を寄り添わせる。そうす
ることによって、コンテクストに対する解決
方法と建築そのものの良さの双方を相乗
効果的に作用させることにより、よりよい
ものにしていこうと考えるようになったの
である。


そんなことを考えながら今日に至っている。