rat's eyes:脆弱なラショナリストの視点

脆弱なラショナリスト「建築家:岡村泰之」の視点

ガストン・バシュラール


フランスの思想家である。
火、空気、水、土という物質の四元素による想像力に関する
ポエティックな思索で知られている。
いわば、物質的想像力の提唱者である。


私はもっぱら、建築にかかわる問題を構造主義やら記号論などの
形式想像力の問題として考えてきた。
しかし、一方で形式的思考だけでは捉えきれないものがあるのでは
ないかともがいているときに、バシュラールと出会った。


とくに、水と火には根源的な何ものかを突き動かすものがある。
自然の水のあるところはなにか神々しいものを感じてしまう。
火については、キャンプファイヤーの求心力を思い浮かべると
いいだろう。人の心をひとつにしてしまう魔力がある。
まさにバシュラールの代表的な著書に、「水と夢」(写真)と
「火の精神分析」という本がある。


ふと思い浮かべると、料理には水と火が欠かせないことに気付く。
もちろん空気がないと火が燃えない。
オール電化は確かに安全で効率的であることは認めざるを得ないが、
それを積極的にお勧めしない自分がいるのは、火を見ながら、
火のもつちから(熱さ)を感じ、においを味わうことがとても
重要ではないかと考えるからである。


念のために言っておくが、私は決して東京ガスのまわしものではない。