rat's eyes:脆弱なラショナリストの視点

脆弱なラショナリスト「建築家:岡村泰之」の視点

鉄工所の現寸場


10年位前までは、鉄骨造の建築の場合、現寸検査と製品検査で
鉄工所に二回行くのが通例であった。
最近ではCADの普及でほとんど現寸検査は行われない。


昨日は、江東区の建物の製品検査で柏市の鉄工所に行った。
そこで久しぶりに現寸場を見た。
渋い一癖ありそうなおじさんが床に鉄骨の現寸を描いていた。


ちなみに現寸場とは、たいてい鉄工所の二階にあって、
だだっ広い床が黒板になっていて、その上に白墨で墨を打って
鉄骨を実物大で描き納まり等を検討するところである。


いまでもその鉄工所では特に検討を要するところについては
現寸を描いて検討しているらしい。


私も以前は鉄骨が製作される前の床に描かれた実物大の
鉄骨の図を見て想像力を膨らませたものだ。
そこにはものになっていく前のリアリティがあった。
いまはそれをCADで処理してしまうのはちょっと惜しい。


でも時代は移り変わっていくものだ。
CADで想像できる頭をつくっていけばいいだけのことだ。