rat's eyes:脆弱なラショナリストの視点

脆弱なラショナリスト「建築家:岡村泰之」の視点

インテリジェンス


インテリジェンスとは、諜報活動などの情報戦に
関わる情報のことである。


手嶋龍一氏と佐藤優氏の対談「インテリジェンス
武器なき戦争」(幻冬社新書)を読む。


手嶋氏はNHKのワシントン特派員、佐藤氏はあの
鈴木宗男氏がらみで逮捕された外務省きっての
情報分析のプロフェッショナルである。


前々から、新聞やテレビなどのマスメディアは
どうも怪しいと思っていた。世界はもっと異なる
次元で動いているのではないか、マスメディアは
表層しかとらえていないと考えていた。


この本を読むと、つい最近までのあいまいだった
近代史がしっかりと結像してくる。


ゾルゲのこと、第二次世界大戦末期に小野寺信
少尉がストックホルムから打電してきたソ連参戦
情報、杉原千畝の「命のビザ」の裏話、大韓航空
撃墜事件の裏側、など興味深いテーマについて
語られている。


また、旧ソ連からロシア、ユダヤイスラムをめぐる
アメリカ・ロシアとイスラエルとの関係。アメリ
ネオコンがトロッキストを経て世界革命という
考え方でイスラエルとつながっていることなども
興味深い話だ。さらに、1985年に西ドイツ(当時)の
社会哲学者ユルゲン・ハーバーマスが、レーガン
政権勝利はネオコンの政治での勝利を意味し、
自然と闘って克服するというネオコンの自然観は
ユダヤ人の伝統的な発想に近く、今後大変な
緊張が起こるだろうといっていたことは、今を予見
しており鋭い分析だ。


何よりもおもしろかったのは、諜報活動とはテレビ
や映画でみるスパイのように重要人物に接近して
秘密情報をとることだけではなく、様々な表に出て
いる情報を総合してどう行動するかを総合的にまと
めあげる仕事であるということだ。表も裏も分かった
上での総合力が問題なのだ。なおかつ、こうした
インテリジェンスを有効に利用しうる能力をもつ政治
指導者がいないといくら有能なインテリジェンスを
有していても宝の持ち腐れとなる。


これからは、うわべのマスコミの情報を鵜呑みに
することなく、話されていることの裏側を見るように
心がけよう。諸現象の裏には必ず真実がある
はずだ。真実ってなんだって問題もあるけどね・・・。