私は性格上、駆け引きするのが苦手である。苦手で
あるがゆえ、面倒くさいし、強いて言えば嫌いだ。
必要のない限りしたくない。
でも、どうしても必要なときもある。恋愛の核心は
駆け引きであるし、敵対する関係にある場合、駆け
引きなしではこちらに危険が及ぶことがある。
恋愛にせよ、敵対関係にせよ、なぜ駆け引きしな
ければいけないかといえば、実際より自分を大きく
見せて、相手に気に入ってもらったり、強く見せ
優位に立つことでものごとを自分本位に進めていき
たいと思うからである。
恋愛や敵対関係に関わる以外のところでは、できる
限り、駆け引きはしたくない。駆け引きするには、
自分の弱みを隠したり、相手の動きを読んで相手が
嫌がることをしたり、カードを切る順番を考えたり
しなければいけない。つまり、双方がブラックボックス
を持って、ものごとを隠しあいながら、窮屈に生活
しなければいけないのだ。そんなの面倒くさいに
決まっている。
建築、とりわけ住宅をつくる場合、目標はただ一つ
だけである。クライアント家族が、快適に豊かに
長く過ごすことができる住まいをつくることである。
ならば、素直に、クライアントと施工者と設計者が
知恵と力を出し合って、協力して住まいづくりを
すればいいだけである。
できるかぎり、ものごとはシンプルに考えて生きて
いきたい。なぜなら、私は生来の面倒くさがり屋で
あり、無駄なことに頭とエネルギーを使いたくない
からである。楽しい人たちと楽天的に前向きに生きて
いきたいと思う今日この頃・・・。