rat's eyes:脆弱なラショナリストの視点

脆弱なラショナリスト「建築家:岡村泰之」の視点

自分と世界をつなぐもの


きのう、暑い中、道を歩いている途中で、こんな
ことを考えた。自分と世界を結ぶもののなんと
頼りないことか、というようなこと。


よ〜く考えてみると、五感のみでしか、人間は
世界とつながっていないのだ。


むかし、三浦半島の火力発電所が近くにある海
で、すもぐりをしたことがあった。視界は数10cm、
それに加えて、重力に対する感覚は水の中だから
地上よりあやふやだ。頼りは、聴覚と触覚と味覚。
これではどうにもならない。パニックに陥る寸前
の状態だった。


人間と世界のつながりはこのように糸のように
細い。ふつうに生活している分には、しっかりと
世界とつながっているという、砂上の充実感を
感じることができるが、いざ感覚のなにかが失わ
れると、つながりがぷっつりと切れてしまう。


人間は、この細いつながりを脳で統合して、世界
や環境を把握しているのだ。この統合する能力が、
想像力である。


日常生活も、この想像力によって支えられている
ことが分かる。さらに、建築空間やアートの世界に
至っては、飛躍力を伴った想像力が必要とされる。


こんなことがふとあたまの中をよぎった。


●写真は、事務所の西側に茂ったゴーヤである。
ゴーヤが、西日の暑さから、われわれを守って
くれている。