rat's eyes:脆弱なラショナリストの視点

脆弱なラショナリスト「建築家:岡村泰之」の視点

固定観念のはずし方


固定観念との付き合いは、なかなか厄介で
ある。


そもそも、国家や貨幣は、みながあると信じ
ているから、国境や価値がある。立派な固定
観念である。こうしたみなが信じてつくり
上げているものに関しては、固定観念は有効
な働きをしてくれる。


かたや、時代が変わり、状況がまったく変わ
ってしまったのに、古い固定観念に縛られて
いると、時代や社会から取り残されてしまう。
私自身は、取り残されるという生き方もある
と思っているが・・・。


ものづくりをしていると、これはやっぱりこう
でしょうといった、みんなの思い込みが新しい
時代にフィットしたアイデアが生まれてくる
ことを阻止してしまうことがある。


そんなとき、ものすごく基本的なことに疑問を
持ってみることをおすすめする。たとえば、
機能的ということば。みんな、生活動線は、
機能的であるほうがいいと思っている。そこで
機能的ってなにか、機能的ならほんとにここち
よいか、などのシンプルな疑問をいだいてみる。
物理的に最小の移動で、人間の動作に即した
動線計画やプランニングが機能的なものだと
されている。快適さなどの人間の感性的な
部分は排除されていることが分かる。これで
ほんとうに快適なものができるのだろうかと
いうことになる。


よほど使いにくくない範囲で、非機能的だが
室内を移動することによって、外部空間を楽し
めるなどの気持ちがいいことがあるのならば、
決してガチガチに機能的である必要はない。


あまりにも基本的で当たり前なことを疑って
みること、それによって固定観念の呪縛から
離脱することができる。


国家だって、貨幣だって、みんなや〜めたって
信じなくなったら、存在しないんだもの・・・。


●写真は、事務所の西日よけ用のゴーヤ。
今年もゴーヤができます。事務所を訪れる
みなさん、ご期待ください。もれなく差し上げ
ます。