社会と軋轢を生みだしているものをよ〜く観察
してみると、ヒューマニスティックな思想に
基づいているものが多いように思う。
ヒューマニズムとは、文字通り人間中心主義、
人間を中心にすえてものごとをとらえる世界観
である。それは人間のためというのが主題で
あるため、いろいろなところで「世界」との齟齬
を生じさせる。
「世界」のあらゆる生物や物質をパラレルに
とらえられる思想がいまこそ必要だと思う。
「環境」について語ることができるのは、こう
した思想のみである。
そのような世界観に基づいた思想や宗教の
中でもっとも可能性がありそうなものとして
仏教が挙げられる。
建築の中でも、「世界」を上下や濃度の差に
基づいて考えない、零度の思想が必要である。