rat's eyes:脆弱なラショナリストの視点

脆弱なラショナリスト「建築家:岡村泰之」の視点

リアルとフィクション


最近、電子書籍の話題をよく耳にするよう
になった。コンピュータが一般化したころ
から、本はペーパーレスになってなくなり、
電子書籍がふつうのものになると言われて
久しい。


しかし、電子書籍は一般化しているとは
いえない。端末の問題なのだろうか。私も
いまでも、携帯やパソコンで小説などの
書物を読むのにまだ抵抗ある。物質として
の本のほうがまだ断然いい。おそらく、電子
書籍には、物質的リアリティを感じること
ができないからなのだろう。


建築の設計図の場合も同じようなことが昔
言われていたが、いまではCAD上で、実際
の建築空間を想像できるようになっている。
スケール感の問題についてもまったく問題
ない。それは、CADに物質的リアリティを
感じているからなのだろう。


そう考えると、書籍もきっと電子化するのは
近いのだろう。


フィクションがフィクションで留まるのは、また
は、バーチャルがバーチャルでとどまるのは、
そこに物質的リアリティが伴っていないから
である。


そういえば、ほとんどの音楽も電子化されて
いる。本が電子化されるときは、それはそれ
で素直に受け入れていくこととしよう。


しかし、電子書籍にはまだなにかが足りない。