rat's eyes:脆弱なラショナリストの視点

脆弱なラショナリスト「建築家:岡村泰之」の視点

リアルのつかまえ方


子供のころから、自分の気持ちが浮付いて
どこにもつながっていない感じ、つまり
リアルを感じることができない状況が長い
間続いていた。学校時代、建築事務所に
勤めてからも同じ気持ちになることがよく
あった。


なぜそうだったか、自分で仕事をはじめて
から少し経ってその理由が分かった。自分
がだれかになにを伝えたいのか、そのこと
を本当に自分のあたまで考え、からだを
通して出てきたものなのか、そして、相手
に自分が伝えたいことが伝わったか。その
あたりのことがまったく整理されていなか
ったからだった。


まず自分がなにをどう考えて生きていくか
をクリアにしなければならない。そして、
そのことをとことん考え抜き、自分のからだ
を通して外に出てくるものになるまで熟成
させなければいけない。そこまですれば、
上滑りの考えとはまったく違い、少しだけ
かもしれないが聞く人の心に響くようになる。
それを聞いた相手から、自分が考えたこと
に沿った答えが返ってくることによって
はじめて本当のコミュニケーションが生じ
るのだ。


リアルのつかまえ方、それは相手と深い
コミュニケーションを交わすことによって
可能になる。関係のリアル、もののリアル
は、実は人間関係のリアルによってもたら
されるのだ。