rat's eyes:脆弱なラショナリストの視点

脆弱なラショナリスト「建築家:岡村泰之」の視点

できること、できないこと


つい10数年くらい前まで、自分ができることは
人にもできると考えていた。たとえ、いまでき
ないとしても、努力してそのすべを身に付けれ
ばできるようになると考えていた。


しかし、あるとき空間認識能力や創造能力は
ある意味特殊才能であることに気付かされた。
人には、できることとできないことがあること
が分かるようになった。また最近、人をまと
める力やコミュニケーション能力に関しても
同じだということが見えてきた。努力しても
できないこともあるのだ。


できないからといって、卑下することはない。
人の優劣を決めるものではないと思う。しかし、
できないのにできないということが認識できず、
ズルズルと同じ場所にいてはいけない。自分に
できることがある場所、それも自分が違和感
なくいられる場所を見つけることだ。


自分には特殊な才能があるとは考えていない。
でも建築は間違いなく好きだ。自分はたまたま
そのはまれる場所を建築に見つけることがで
きた。これと同じように、自分が無理なくはまる
ことができる場所を見つけることこそが重要で
ある。


ここ最近の風潮は、自分にできない場所でも
無理してその道に進ませるような教育が平気
でなされているようである。


自分が豊かでいられる場所を探すことだ。自戒
を込めてこんなことを思った。