rat's eyes:脆弱なラショナリストの視点

脆弱なラショナリスト「建築家:岡村泰之」の視点

対談:小熊英二×湯浅誠


きのうは夕方早めに仕事を切り上げて、かみ
さんと新宿に行く。


第89回紀伊国屋サザンセミナー、「3.11前/後
の日本社会を問う」小熊英二×湯浅誠を聴き
に行ってきた。お二人とも前から興味を持って
いる人で、生でご本人たちを見てみたいと思っ
ていたのでいい機会であった。小熊さんは膨大
な資料を基に緻密で興味深い社会分析をされ
社会学者である。その結果、出版される本も
分厚い。湯浅さんは、反貧困を目指す活動家
で、年越し派遣村を運営した中心人物である。
相手の言っていることを否定することなく包摂
していく姿勢がすごい。態度やしぐさにそれら
が表れている方である。


格差の原因は、高度経済成長時の1960年
前後に形づくられた社会保障制度が現在も
運用されており、右肩下がりになり社会構成
も変化してしまった現在には機能しなくなって
いることにある。また、各行政、社会、住民
同士をつなぐしくみや人材の不在がそれを
一層加速させているようだ。今回の東日本
大震災によってそのほころびが露呈し、それ
を直視することで改善していく契機にした方
がいいということで、お二人の意見は一致
する。


目に見えていることを分析することも重要な
ことだが、その背後にあるしくみに目を向け
そこに潜む矛盾を整流化していくことも同様
に必要不可欠なことであると思う。


このイベントは、「よりみちパン!セ」の復刊
スタート記念対談である。私の著書「建築バカ
ボンド」も、イースト・プレスから近々復刊され
る予定である。ご期待ください。