rat's eyes:脆弱なラショナリストの視点

脆弱なラショナリスト「建築家:岡村泰之」の視点

コミュニケーションのズレ


自分はある時期から、人に伝えたいことは自分
が思っている通りには、ほぼ100%伝わらないと
考えるようになった。全く伝わらないことを前提
にどう伝えればいいかというふうに極端に考えた
方が、伝えたいことを少しでもより多く伝えられ
ると考えたからである。


もし、伝えたいことが100%伝わる世界があった
らと考えてみる。その世界は薄っぺらで深さの
ないつまらないもののように思える。誤読も誤解
もない世界。そこには、文学も芸術も存在しない
だろう。実は伝わらないからこそおもしろいのだ。


コミュニケーションには必ずズレが生じるもので
ある。そのズレを受け手がどのように解釈するか
で伝わるものが大きく変化する。相手がこちら
に対して不信感を持っていたら、受け取る内容
は当然ネガティブなものになってしまう。もし、
好意的に受け取られていたらそのズレも誤読や
誤解によっていい意味に受け取られる可能性が
高まる。コミュニケーションはポジティブに取るに
限る。このズレによって人間の想像力が起動
され、芸術的な状況が生まれてくるともいえる。


人と人とのコミュニケーションに限らず、組織間、
国家間においても、ズレをどう受け取るかによって
それぞれの対応は異なってくる。


コミュニケーションのズレをポジティブに楽しんで
生きていこう!!