rat's eyes:脆弱なラショナリストの視点

脆弱なラショナリスト「建築家:岡村泰之」の視点

日本はなぜ、「戦争が出来る国」になったのか


矢部宏治氏の新しい著書である。戦後史の
闇の部分をあぶり出す好著である。


終戦後駐留したアメリカ軍の最高指令長官
マッカーサーは、当初駐留期限が過ぎたら
憲法第9条に基づき再軍備化はさせず国連
軍に駐留させる方針であった。


しかし、朝鮮戦争が勃発する前に方向性を
大転換する。ダレス国務長官国連憲章
潜ませたトリックによって、マッカーサー
方向転換を迫られる。結果として、米軍が
駐留し続け警察予備隊を創設させるに至る。


サンフランシスコ平和条約
  ↓
日米安保条約(新日米安保条約
  ↓
行政協定(日米地位協定
  ↓
日米合同委員会での秘密協議


という密約の4重構造によって、「基地権
条項」と「指揮権密約」を駆動させ、戦時に
自衛隊は米軍の指揮下に入ることとなって
いる。そして、世界中どこででも米軍ととも
に戦争ができることになっているのだ。


これらのことを考慮すると、現政権の動き
には整合性があるといえる。というかなぜ
あんな動きをしているかの理由が分かる。


この本を読み終わって愕然としたが、矢部
さんがあとがきに書かれているようにここ
までやり尽くされていると分かれば、これ
からどういうアクションを起こせばいいかが
明確になる。


氏の前著、日本はなぜ「基地」と「原発」を
止められないのか、は10万部売れたらしい。
これが100万部になると日本の人口の1%弱
となる。そうなると日本の世論を変えられる
可能性が出てくる。前著と合わせて本著を
お読みになられることをお勧めする。