rat's eyes:脆弱なラショナリストの視点

脆弱なラショナリスト「建築家:岡村泰之」の視点

国谷裕子さんの本を読む


クローズアップ現代」でキャスターをされて
いた国谷裕子さんの著書「キャスターという
仕事」(岩波新書)を読み終わった。


なんと23年も続いた番組だったらしい。それ
が2016年春、番組改編のため急に終了して
しまった。何らかの圧力が掛ったとしか思え
ない終わり方だった。


本には、番組づくりの考え方、具体的な作業
が書かれている。本から報道に対する真摯な
姿勢が見えてくる。家にいるときは必ず観て
いた番組で、その公平公正さと言葉による
報道としてとても優れたものだった。国谷さん
の前説とゲストへのインタビューは毎回興味
深く聴いていた。


バブル崩壊から失われた20年までとても優れ
た報道をしていた。激動の時代と共にあった
番組である。


その最終回のゲストの柳田邦男の危機的な
日本の中で生きる若者たちに送る八ヶ条が
秀逸なので引用させていただく。番組では
4つしか流さなかったようだか、8つとも掲載
する。


1)自分で考える習慣をつける。立ち止まって
考える時間を持つ。感情に流されずに論理的
に考える力をつける。
2)政治問題、社会問題に関する情報(報道)
の根底にある問題を読み解く力をつける。
3)他者の心情や考えを理解するように努める。
4)多様な考えがあることを知る。
5)適切な表現を身につける。自分の考えを
他者に正確に理解してもらう努力。
6)小さなことでも自分から行動を起こし、いろ
いろな人と人と会うことが自分の内面を耕し、
人生を豊かにする最善の道であることを心得、
実践する。特にボランティア活動など、他者
のためになることを実践する。社会の隠された
底辺の現実が見えてくる。
7)現場、現物、現人間(経験者、関係者)こそ
自分の思考力を活性化する最高の教科書で
あることを胸に刻み、自分の足でそれらにアク
セスすることを心掛ける。
8)失敗や壁にぶつかって失望しても絶望する
ことなく、自分の考えを大切にして地道に行動
を続ける。


これは小学校から大学までの教育で身につけ
るべき項目だと思う。しかし、実際は経済至上
主義やグローバリズムに流されて、これらのこと
が欠損している人が多いように思える。自戒を
込めて引用させていただいた。


自分もこの八ヶ条にを忘れずにこれからも生きて
行こうと思う。