rat's eyes:脆弱なラショナリストの視点

脆弱なラショナリスト「建築家:岡村泰之」の視点

プロセスを体験することが重要な意味を持つ時代


この前、殻付きのピーナッツを食べながら考えた。
殻が剥いてあるものに比べておいしいと感じるの
はなぜだろう。殻が剥いてあるものは、殻を剥く
というプロセスなしでどんどん食べることができる。
殻付きのものは、剥くという行為をする何秒かの
時間が掛かりその間にピーナッツを口に入れた
ときのことをイメージし、食べて味わうということ
を意識化してくれる。それゆえ、おいしいのでは
ないか。


子供のころカニを食べるとき、たくさん身だけ取って
まとめ食いをしたことがあるが、あの味気なさには
空しささえ覚えた。カニは食べる分を殻から一回
一回取り出しながら食べるからこそおいしいので
ある。


そういえば、みかんも皮付きでなければいけない。
缶詰の皮が剥かれたみかんを食べるときの空しさ
はそこからくるのだろう。


プロセスは食べ物を口に入れ味わうことを意識させ
それを強化する。住まいづくりもプロセスあってこそ
住んでからの快適さをより実感できる。効率的で
あればあるほど結果に実感が伴わない。手間隙かけ
ることによって得られることにもっと注目しなければ
いけない時代になってきているのに、いまだに効率
性だけを求めていることが世の中にねじれを生じさ
せているような気がしてならない。