rat's eyes:脆弱なラショナリストの視点

脆弱なラショナリスト「建築家:岡村泰之」の視点

思想なき国の人たちの思想


世の中は、般若心経ブームのようだ。
柳澤桂子さんと新井満さんの口語訳が売れているらしい。


キリスト教ユダヤ教イスラム教などの多くの宗教は、
ひとつの神を信仰する一神教である。
西欧の思想は、キリスト教に基づいたり、アンチという
かたちでつくり上げられてきた。


どうやら、日本という国は、こうした宗教や思想が根付かない
国らしい。韓国のキリスト教信者が国民の40%くらいで、日本は
一ケタ台を超えていないらしいことから見ても、一神教的な
宗教が根付きにくいようだ。同じように、イデオロギー
根付きにくい。


そこで、仏教である。
ひとりの神に見守られているというのではなく、
神はなくものごとは相対的であるという教えになんとなく
この国の人たちはリンクしているのかもしれない。
ここのところの般若心経ブームはこれを反映しているのだろう。


みなが信じるものがひとつあって社会をかたちづくっていくより、
相対的なそれぞれの人間関係の総体として社会を形成していく
のはなかなかしんどいけど、本当の意味での個人主義に近い
ような気がする。仏教についてはもう少し考えてみたい。
この国の行く末に光明を与えてくれているような気がしてならない。


●写真は、庭のアジサイ
自然はもう梅雨の準備を始めている。