rat's eyes:脆弱なラショナリストの視点

脆弱なラショナリスト「建築家:岡村泰之」の視点

空間はプランではわからない・・・


きのうは、横浜市鴨居の建築家建売住宅「空庭
の空間解説に現地に行ってきた。


建売住宅よくある、細長く間口が狭い敷地に
計画された住宅である。その中に1坪強の中庭が、
ケルトン階段とセットで配置され、3階への
階段は、この建物の名称を具現化した空へ向う
バルコニーへと続いている。


プランや模型だけ見ていると、1坪強の中庭が
窮屈に挿入されている、狭苦しい建物のように
見える。おそらく、施工業者さん、さらには、
一般の設計者でも、ふつうそのように思って
しまうだろう。


しかしだ。この建物はそうではない。なぜなら、
そんな狭い中庭でも、スケルトン階段、吹抜け、
北側だが大きく開いた開口、空への広がりと
いった、他へつながるものが同時に効果的に
計画デザインされることで、実面積では計り
知れない開放感を獲得しているのである。


そう、見なければ分からない建築なのである。


こういった見えざるものを想像し、デザインする
のが、「建築家」と呼ばれる人たちを最も特徴
付ける職能といえるかもしれない。


「空間」は、見て感じて、体験しないと分からない
ものなのである。