rat's eyes:脆弱なラショナリストの視点

脆弱なラショナリスト「建築家:岡村泰之」の視点

再び「ちくわハウス」のこと


ちくわハウス」(ラトルズ)が出版されてから、1ヶ月
経った。売れているのだろうか。


書いているときは、本としての全体像や、実際の本を
読み進む感じ、がなかなかつかみきれない。それを
知っているのは編集者のみ、という中で作業は続け
られた。


編集者というのは、建築の設計にたとえると設計者
のようなもので、執筆者はクライアントに相当する。
つまり、執筆中は、建築のクライアントの不安定で
落ち着かない気持ちを経験したことになる。


先が見えない不安な気持ちがよ〜く分かった。
でも、ひとついえることは、不安な気持ちを編集者
にぶつけたり、猜疑心を持っても意味がないという
ことだ。信じられる編集者ならその人を信じて身を
任せ、いっしょにグルーブ感を楽しむことが、より
よいものをつくり出す可能性を高めるための最善の
方法のような気がする。建築の場合も、設計者が
信頼できるなら、その人に身を任せ、設計を楽しむ
方が、クライアントにとって快適で豊かな建築が
できる。本を書きながら、そんなことを学んだ。


そんな中で、もう一度、パラパラと本をめくって、
拾い読みしてみた。われながら、わるくない本だ。


これから、家を建てようと思っている人にとっては、
単純なノウハウ本ではなく、どのようなことを考え
行動すればいいかが分かり、建築を学ぶ学生に
とっては、具体的な建築の成り立ちが分かり、さらに
深読みすれば、最新の建築理論まで通じるところも
あり、建築を考えるための本となっている。


自画自賛オンパレードだが、1ヶ月経って、再度
読んでみて、こんなことを思った。興味をもたれた
方は、ぜひ手にとってみてください。