rat's eyes:脆弱なラショナリストの視点

脆弱なラショナリスト「建築家:岡村泰之」の視点

重層的に建築を考えること


昨夜の、東京工業大学坂本一成 建築展」の
坂本一成さん、八束はじめさん、坂牛卓さんの
鼎談形式のシンポジウムは、近年あまり体験
することができなかった、深みのあるもので
あった。


シンポジウムの最後に、八束さんが聴衆に対して
苦言を呈された。単純に世代的なものもあるのか
もしれないが、昨今の建築のありようは、あまりに
直接的すぎるような気がしてならない。アカルイ
→カイホウテキ→カルイ→キモチイイ、といった
あまりに単純な因果関係でつくられすぎている、
と。


私もこのブログでなんども語ってきたが、建築
の構成は、できるだけシンプルな方がよいと思う。
でも、そこに空間が介在したとき、単純な構成が
生み出す複雑で味わい深い空間こそが建築の
醍醐味なのではないか。


優れたアート、音楽、なども同じではないかと
思う。シンプルだけど深い、それこそが質の高さ
というものだ。


そこには、歴史的なこと、文化的なことなど様々
なことが複合的重層的に絡み合うことにより、深い
味わいが増し、日常から非日常への道すじが見え
てくる。


もっと、重層的に建築を考える必要があるようだ。


そして、「世界」とつながることが求められている。