rat's eyes:脆弱なラショナリストの視点

脆弱なラショナリスト「建築家:岡村泰之」の視点

荒川修作


もう数週間前になるが、NHKの「課外授業ようこそ先輩」というテレビ番組に
荒川修作が出演している放送をみた。
http://www.nhk.or.jp/kagaijugyou/list/list4.html


1980年頃の彼の作品は、「建築的」、「空間的」なミニマルなドローイング
だった。そのころ熱心に展覧会等にも足を運んだ。新しい建築を示唆する
ところが多大にあったからだと思う。
しかし、いまのように、現実の建築をつくるところまでくるとは思いも
よらなかった。


その番組の中で印象深かったシーンが二つあった。
ひとつは、彼の作品「養老天命反転地」という公園でのシーン。
小学生を前に、坂道を突然走り降り、
「君たち見えたか!今僕の体から僕が飛び出したとこ!!」
小学生はもちろん、みんなポカ〜ン状態。
もう一つは、子供たち各自が思いつくおもしろい家をつくるという課題を
小学生が荒川修作に説明するシーン。
鉄塔の上に昔の金魚屋の桶のようなものが乗っておりその桶が露天風呂という案。
これを見て彼は、独特の巻き舌日本語で、「すばらしい〜ね〜。このまんま
つくるんだよ!このまんまつくるとすばらしいよ〜。君らは天才だよ〜!!」
このあたりから小学生たちも荒川の魅力に取り込まれていく。


僕の小学校時代を思い出すとここまではいかないがいろいろユニークな先生がいた。
いつもゴムを持っていて悪いことをするとゴムパッチンする先生、
おそらく彼は授業中も酒を飲んでいた。
かなり変態にに近いが何とかつくろって日常生活を送っている先生。
白墨用の三角定規で子供をぶっ飛ばす先生。
自分が買った新車に児童を載せて100キロのスピードで公道を走る先生。
どんな子供の絵でもピカソゴッホなどの画家の作品に似ているといってほめるちぎる先生。
妙にピアノがうまく、放課後に講堂のピアノでショパンを弾いていた先生、などなど・・・。


いま、もっと変な先生が学校にいてもいいと思う。
犯罪を起こしては困るが、こんなことを考えているおとながいるんだ、
こんなこと考えてもいいんだと、子供に希望と勇気を与えてくれる先生が必要だ。


三鷹の僕の現場近くに、荒川修作の現在建設中の建築現場がある。
ときどき立ち寄ってみようと思う。


荒川修作は、建築家としては個人的にはクエスチョンだが、建築の得意な芸術家と
考えると心の中にすんなり納まる。


荒川修作のHP、参考までに・・・。
http://www.architectural-body.com/ja/