建築には、大きく分けてふたつのアプローチが
ある。
ひとつは、使いやすいとか間取りがいいといった
実用的で機能的なもの、もうひとつは、「空間」
などの機能的視点では図り知ることができない
デザイン的な分野である。
若い頃は、後者のデザイン的な分野にある「構成」
という考え方は、美しいオブジェクトのためにある
と考えていた。多くの建築を手がけていく中で、
「構成」という考え方も「空間」につながっている
ことが分かってきた。
「空間」という考え方は、使う側の豊かさのため
にある。一方、「オブジェクト」はつくり手のため
にある。
見えざる、分かりづらい「空間」や「構成」の次元
を考えるのが建築家の仕事である。できるかぎり、
この分かりづらい分野を噛み砕いてクライアントに
伝えていきたいと考えている。