rat's eyes:脆弱なラショナリストの視点

脆弱なラショナリスト「建築家:岡村泰之」の視点

新しさってなんだろう


ものをつくっていると、とくに若い頃は、いつも
新しいものをつくり続けていなければいけない
という強迫観念に襲われることがよくあった。


でも、新しいことってなんだろう。


建築でも、いつも新しいことに朝鮮し続けて
いる建築家がいる。強迫観念のように毎回
違う分野の建築をつくり続けている。何人
もの構造家と付き合い、いつも新しそうな
ものを生み出している。


ちょっと、斜に構えてみると、毎回、構造の
種類や考え方を変えているだけで、決して
空間が目新しいわけではない。パラダイム
島を飛び移っているだけのように見受け
られる。


構造的なイノベーションは、近代建築が
熟していく中でもうすでに出しつくされて
いるように思われる。新しいのは構造から
見た、空間的構成的構想である。その当り
のことを履き違えてはいけない。新しいのは
考え方なのである。


もうパラダイムの島を飛び移るのはやめよう。
空間はまだまだ深い。構造的な視点について
は、構造家とコラボレートするにして、もう
少し歴史的な視点に立って、空間的思考を
深めていこう。その深みにこそ、ほんとうの
新しさが潜んでいるように思えてならない。