rat's eyes:脆弱なラショナリストの視点

脆弱なラショナリスト「建築家:岡村泰之」の視点

建築三昧の一日


きのうは午前中、スタッフ全体ミーティングのあと、午後から
は、鈴木謙介建築設計事務所とうちの事務所で、合同の
建築勉強会。


まずは、伊東豊雄氏設計の多摩美術大学の図書館見学。
雑誌で、大まかな知識を得ていたが、アーチのある、あまり
興味を引かない建物だと思っていた。しかしだ、実際に
見てみると、ところがどっこい、伊東さんの建築の中でも
最高傑作ではないか。仙台メディアテークでやろうとして
いた、建築空間のレイヤー化が、奇しくも、意図されたか
どうか分からないが、この図書館で明確に実現されている。


アーチという、歴史性の強い構造体が、グリッドを逸脱
して配置され、微妙なスケール感で歴史性や構造性
から逸脱し、家具や人とは、無関係な覆いとして機能して
いる。そのことによって、図書館の機能を担う棚やそこで
本を読む人たちとは、異次元の「もの」となっているのだ。
覆い→家具→人→地形、という、図書館を構成するものが、
レイヤー化されることで、図書館の機能やそこで活動する
人たちが溌剌としたものとして、際立って見えてくる。


また、エントランスホールの地形なりの傾斜も秀逸である。
建物自体の床が水平ではないということ自体画期的だが、
このことにより地形のレイヤーが一層明確にされている。


空間の透明性を明確に持った、まさに傑作建築である。
建築空間は、実際に見に行かなければ分からないから
こそ、おもしろい。


そのあと、1980年代の伊東さんの作品、「永山健康ランド」、
都立大学の図書館と国際交流館を見てから、南大沢駅
の居酒屋で、総勢14名で建築について話す。ふだん、こう
した外部の人たちとまじめに建築について話す機会の少ない
スタッフたちには大いに刺激になったことだろう。


無理しない範囲で、またこのような機会を持ちたいと思う。
きのうは、こんな、建築三昧の一日であった。