rat's eyes:脆弱なラショナリストの視点

脆弱なラショナリスト「建築家:岡村泰之」の視点

不完全のすすめ


完全を求めてはいけないといっている
のではない。完全を求める意思や行為は
いいシクミやモノをつくっていくにはとても
大事なことだ。


だが、シクミやモノが完全なものになる
とどうだろうか。社会システムなどだと、
いったん完全なものがつくられてしまうと
それを維持することだけに知恵や力が
注がれ、本来のいい政治を提供するという
使命が忘れ去られてしまう。ワイマールや
ソビエトがそのいい例だろう。完成形の
一歩手前で連続して完全を目指していく
というのが、理想なのかもしれない。


ものづくりにも同じようなことがいえる。
完成されたものはただ美しいモノである。
美しさだけが際立ち、本来のもののあり
ようが消去されてしまう。


あえて完成させないという、精神が重要
なのかもしれない。完成形を求め続けるが、
完成の一歩手前で、その完成への道筋を
逸脱し続ける。そんな創作活動をしていき
たいと思う。