rat's eyes:脆弱なラショナリストの視点

脆弱なラショナリスト「建築家:岡村泰之」の視点

大津波と原発


先週土曜日、夕方からの工事契約に行く
ために吉祥寺で待ち合わせをした。予定
より30分も早く着いてしまったので近く
の本屋さん「ブックス・ルーエ」に寄る。
入ってすぐ、読んでくれ〜と呼びかける
本があった。その本が「大津波原発
朝日新聞出版社)である。内田樹さん、
中沢新一さん、平川克美さんの鼎談本。


やはり、予想通りその内容はおもしろ
かった。基本的な論調は、今回の災害
は敗戦と同じ状況であり、敗戦の時の
ずるすると戦前のシステムを、だまし
だまし温存してしまった歴史を繰り返す
ことなく、新たなしくみを構築していくべき
だということ。そして、復旧すれば済む
ものではなく思想のレベルで捉え直さ
なければいけない問題であるということ。


東電の、経営効率を追う文科系幹部と
リスク回避しようとする技術者たちと
の確執と、前者の勝利によるリスクの
管理の甘い企業体質になってしまった
こと。フランスの新聞が、1号機に消防
の放水車が注水するのを見て「これぞ
ブリコラージュ!」と書き無策を非難
したこと。原子力一神教的との指摘。
そこからフランスの原発は神殿であり、
インドの原発はシヴァの男根のかたち
であることに言及し、神仏習合の日本
には荒ぶる神を鎮めることは難しいとの
分析。最後に、中沢新一さんが「緑の党
のような党をつくることを宣言。などなど
・・・。


こんな感じでエキサイティングだが、これ
からの日本のあり方を考えさせるとても
興味深い本である。お時間のある方は
是非お読みになることをお薦めします。


最後のページで、ブックデザイン:祖父江
慎さん、編集:清水檀さんの文字を見る。
これまた、びっくり・・・。