rat's eyes:脆弱なラショナリストの視点

脆弱なラショナリスト「建築家:岡村泰之」の視点

養老孟司VS橋本治


1/4、5の夕刊、養老孟司橋本治
団塊を知らない子供たちへ」という対談。
ここのところ注目していた二人の対談である。
これもなかなかいいマッチング。


話は、養老さんの
「自分で考える人が日本では少ないんですよ。」で始まる。
つぎに「頭がいい」とは何かという話。
「その場しのぎではなく、体でものを考える人が少なくなった。」(橋本)
「どんどん肉体の感じがしなくなった。」(養老)
着物の着こなしについて、「動きとは時間をかけて出来上がっていくもの、
美しいとはその結果。」(橋本)
絵の話に移り、
ルネッサンスの絵は骨の上に肉をつけて衣装を着せている。」(養老)
「歌舞伎役者の似顔絵は素顔を描いて化粧していく。」(橋本)
などの話が出る。


つぎに、「軍隊調」と養老さんがいつも言っている「団塊」の話へ。
「今は社会が硬くなっている。隙間がない。」(養老)
「空き地がなくなったのは象徴的ですね。」(養老)
「60年代はテレビが当たり前になった時代。
テレビはいけませんよ。」(橋本)
感覚的世界が、「失われたのではなく重要だろういうことに
気がつかないで、捨てていった。」(橋本)


いまの若い人は、「答えのない問題と付き合ってないですよ。」(橋本)
「知性とは、「勝手にしたら」っていうものでしょう。」(橋本)
「そうすれば、本人がかんがえるしかないだけです。」(養老)
「子供がバカであることを大人が愛してくれないことは、
とても寒くてつらいことです。」(橋本)
「子供であることの価値が消え、
大人予備軍としてしか見られていない。」(養老)


「回り道をしても平気な人が、
「回り道をしても平気なんだ」と示さないと
誰も回り道しなくなってしまう。」(橋本)
「「メッセージを」と言われたら、
「体を使って働け」といってます。」(養老)
「今、体使って働けるのは特権階級ですよ。」(橋本)
「いいじゃないですか。特権階級が嬉々として働いていたら、
みんなもするでしょう。」(養老)
「つまり、「やるべきことをやっていたら、
良い結果になるに決まっている」ということです。未来が見えなくても、
やり始めるとそういう未来にたどり着く。この単純な世界観を忘れているのが
問題ではないかなあ。」(橋本)
「その意味で、今の人はバカになれないのです。「おれバカだなあ」
って思ったら、いろんなことがやれるのだけど・・・。」(養老)
と養老さんが締める。


近代主義と経済至上主義に、警鐘を鳴らす二人の刺激的な対談であった。