rat's eyes:脆弱なラショナリストの視点

脆弱なラショナリスト「建築家:岡村泰之」の視点

建築をより豊かにするもの


日々建築の設計をしながら、どうすればより豊かな
建築空間をつくることができるかを考え続け、悪戦
苦闘の毎日が続いている。


土地には、それぞれの土地にポテンシャルがある。
広いとか形がいいことも、ポテンシャルのひとつで
あるが、一番影響を受けるのはなんといっても
「周辺環境」である。それは景観であったり、
周辺のまちの環境であったりする。


土地内部でより豊かな建築をつくることは、建築家の
当たり前の使命であり、職能である。それより、豊かに
なる可能性を広げてくれるのが、「周辺環境」なのだ。


では、その周辺環境をどのように料理すればいいのか。
デザインの糸口は、建築と環境をなにを使って、どの
ように関係付けるかにある。たとえば、大きな開口部で
景観すべてを建築に内部に取り込む。また、縁側や
ルーバーなどによって、中間領域を、建築と環境の間に
つくり出し、両者を緩やかにつなぐ。またあるときは、
外部を明確に遮断してみる。


この「周辺環境」の料理の仕方によって、内部空間は
より豊かなものになっていくし、まちの環境もより
良好なものになる。一見、一つの建築をデザインする
ことは、敷地内の一部分をデザインすることのように
思われるが、あたり一帯の周辺環境もデザインしている
のだ。一個の住宅といえどもまちに対する影響力は
けっこう大きい。


●写真は、庭の枇杷の実。オレンジ色になるのは、
梅雨の頃だっただろうか。きょうもカラスはいない。