糸井重里さんのセゾンのためのコピーである。
テレビのCMでは、ウッディ・アレンが、渋い着物
を着て習字で「おいしい生活」と書くというもの。
1982年の広告である。
辻井喬さんと上野千鶴子さんの対談をまとめた
「ポスト消費社会のゆくえ」(文春新書)の中で、
上野さんは、1979年以降の何年間かの時代は、
世界史的に見ても空前絶後の広告の黄金時代
であったといわれている。
関わったデザイナーも才能のある人たちだった
し、広告が意味するものも、商品の販売促進
するという直接的なものではなく、企業その
ものを漠然とイメージ化するもので、アメリカ
型のマーケティングとはまったく異なるもので
あった。ロラン・バルトが生きていたら、きっと
秀逸な分析をしてくれただろうに・・・。
上野さんもいわれているが、あの時代の広告を
きっちり研究する研究者にあらわれてもらい
たい。そのあたりに日本のおもしろさ、独自性
の端緒があるように思えてならない。