rat's eyes:脆弱なラショナリストの視点

脆弱なラショナリスト「建築家:岡村泰之」の視点

考え方など・・・


まちづくりに関わっていると、大きく分けて
2つのタイプの困った人に必ずといっていい
ほど出会うことになる。


まず、実行不能な大構想を話す人。大構想
を夢想することはわるいことではない。問題
はそれをどのように実行できるかである。
大体、どのようにして実現するんですかと
聞くと、ナメクジに塩をかけたときのように、
急に元気をなくす。これから行なおうとする
ことは、まだ目の前にないことである。今
必要なことを抽象的に構想し、どのように
具体化できるかを考える。このとき、現状
分析と抽象的構想が重要である。これらが
ないと具体的にモノやコトに落としていく
方向を見定められない。構想的で具体的で
あることがもっとも必要な項目である。


つぎに、対立し敵対するものを見つけ出し、
それらとどのように抗争していくかに主眼を
置く人。対立や敵対はイデオロギーの時代
の化石である。今必要なのは、目の前にある
対立や敵対を見定めることである。対立や
敵対の先には、同じような構造をした対立
や敵対がつくられる。見定める過程の中で
相手のしくみをそっくり受け入れる戦略を
取る必要があるときもある。それは平伏する
のではなく、相手の中に入り込みお互いが
いいかたちになるようにオセロ的に構造を
改変していく方法である。今現在の社会や
世界ではこの手法がかなり有効なように思わ
れる。


これは、世界や国家、しいては自分の専門
分野である建築にも置き変えることができる。


こうした思考方法が、若いスタッフや学生
にはかなり欠落している。何とかしなければ
焦るも、どうにもならない。一人一人と対話
し、思考を切り替えてもらう方法しかない。
自戒も込めてこんなことを考えた。